もっと理解してもらいたいですね。
こんにちは。本日も遊びに来ていただき有難うございます。
本日のお話は、昨日出かけたときのお話です。
昨日私は最後の介護の学校へ修了書をもらいに出かけました。
いつも乗る地下鉄での出来事です。
私の乗る車両に盲導犬を連れたおじいちゃんが乗り込んできました。
世の中捨てたものじゃありません。そのおじいちゃんを見るなり車両に乗り合わせた人たちが一斉に動き始めました。
「ここに座りなさい。」「こちらも空いていますよ。」
皆さんが席を譲りました。
そこまではすごくよかったのですが皆さんが別の席に一斉に譲り、手を引っ張り肩を押し…。おじいちゃんはどこにも捕まることができず、どこにも席に座れず、ワンちゃんも皆がおじいちゃんをあっちこっちに引っ張ってしまうのでどうすることもできない。
そのうち地下鉄が発車してしまい、おじいちゃんは転倒しそうに…。
ダメだ。危ない!
私思わず人をかきわけておじいちゃんの所にいってしまいました。
「みなさん。すいません。危ないので一度手を放してください。おじいちゃん私の声きこえますか?」
「聞こえるよ。すまんね。」
「誘導しますよ。2歩左です。もう1歩左です。そのまま2歩下がります。ふくらはぎ椅子にあたりますか?そのまま腰を下ろせば座れます。ゆっくりどうぞ。」
おじいちゃんの手をとり無事に座ることができました。ワンちゃんもおじいちゃんの足元にふせておとなしく座っています。
「わかりやすく教えてくれてありがとう。またみなさんも席を譲っていただき、有難うございました。」
そのおじいちゃんの言葉に車内で席を譲ろうとした人たちもホッとし、その興味がワンちゃんにむきます。
盲導犬がお仕事をしているときは絶対に触ったりしてはいけません。ワンちゃんはお仕事中神経を使っています。刺激することをしてはいけません。
しかしおじいちゃんの目が不自由なことをいいことに
「おとなしいわね。」「かわいいわね。」と一斉に触りだす中年のオバサマたち。
悪気はないのでしょうが理解の無い方はまだまだ多いようです。
ワンちゃんの仕草でおじいちゃんは気が付いたのでしょう。
「お仕事中だからすみませんが犬には触らないでくださいね。」
その一言に「ちょっとくらいいいじゃない。」「ちょっとさわったくらいなのにね。」
心無い言葉がとびます。
おじいちゃんは乗ったとき私に教えてくれたところとは2つも手前の駅で降りようとし始めました。
「おじいちゃんは悪くありませんよ。知らない方にたまたま出会ってしまっただけです。降りようと思っておられるなら、最初の教えてくれた駅まで私と一緒に行きましょう。」と私は小声でおじいちゃんに話し、次にまわりに聞こえるようにわざと大きめな声で話しました。
「おじいちゃん、私介護士なんですよ。ちょうど今日介護の資格の修了書をとりに学校に行くんです。介護の学校でならったんですけれど盲導犬ってお仕事中は絶対触ったらいけないって教わったんです。いろんな神経を使ってお仕事をするから仕事の邪魔をしたらいけないって教わったんですよ。気を散らせてはいけないって聞いたんです。ワンちゃんも頑張っていますよね。」
私の話に心無い言葉を言っていたオバサマ達。小声で「そうなの?知らなかったわ。」
とボソボソ話しています。
「わしは、この子のおかげであちこち出歩けるようになったんだよ。なくてはならない存在で家族同然なんだよ。」
ラブラドルレトリバーの大型犬。上目使いでおじいちゃんを心配そうに見つめています。
そんな話をしているとおじいちゃんの降りる駅に到着しました。
「皆さん有難うございました。無事に着きました。」とおじいちゃん。
「誘導しましょうか?」の私の一言に「大丈夫だよ。ただ手を手すりに捕まらせてくれるかい?」
私はおじいちゃんの手を手すりに捕まらせてあげました。
乗ってきたときはおじいちゃんが転びそうになっていたのでわからなかったのですが地下鉄の車内はワンちゃんにとってはとても歩きにくいものなのですね。
ワンちゃんは一生懸命おじいちゃんを誘導しているのですが、床が滑るようで、足を何度も滑らせ、体制を崩しながらも地下鉄を降りていきました。地下鉄の車内は盲導犬にとってはとても仕事をしにくい環境のようです。
無事におじいちゃんとワンちゃんが降りたことにホッとし、私も学校へ向かいました。
車内で一斉に席を譲ろうとした温かい人たち、盲導犬の理解の無い心無いオバサマ達、盲導犬が仕事をしずらい環境。いろんな事を考えさせる一日でした。
もっと盲導犬のことを理解している人が増えるといいですね。
そして体の不自由な人と健常者が同じように暮らせる環境になればいいな、って思う出来事でした。